家庭医療・老年医療のあり方の研究

家庭医療・老年医療研究委員会

当財団では、2014年9月に、生活の場である地域で、他のサービスとも統合的に機能する基準(=体系)の策定のために、「家庭医療・老年医療研究委員会」を組成しました。

2019年度

今までの成果を元に論文(Factors Affecting “Communication Gaps” between Home-visit Doctors and Nurses:A Qualitative Study for Home-Care Quality Improvement 、Running title: Communication Gaps of Home-visit Staff)を作成し、2019年3月末に、Geriatrics & Gerontology International(日本老年医学会)へ投稿しましたが、諸般の事情から取り下げました。2019年度は、論文内容を一部修正のうえ、4月に新たな投稿先(Journal of Interprofessional Care)へ投稿しました。

また、2018年度からテキストデータ化されたインタビュー結果を基に、訪問診療時における医師と訪問看護師の間の様々な考え方や捉え方の相違などについて、お互いが「気づき」を感じ取れるような小冊子の刊行を準備し、2019年10月に『シリーズ 在宅ケアを考える①お互いの思いを知ることからはじめよう-訪問診療医と訪問看護師の一層の連携に向けて-』として刊行しました。当財団ホームページにも掲載しました。

2017年度~2018年度

インタビュー結果(訪問診療医7名、訪問看護師(在宅医療連携スタッフを含む6名)を踏まえ、両職種間のギャップの把握・整理と類型化等の分析を進め、テキストデータ化されたインタビュー結果を基に、訪問診療時における医師と訪問看護師の間のコミュニケーションギャップなどについて、専門職間で「気づき」を感じ取れるような小冊子(お互いの思いを知ることから始めようー訪問診療医と訪問看護師の一層の連携に向けてー)を作成し、2019年10月に公表予定です。

2016年度

一昨年【STEPI(1年目)】ではテーマ発掘と研究計画の策定、昨年【STEPII(2年目~3年目)】ではインタビューによるデータ収集、今年【STEPIII(3年目~)】では仮説的理論構築と検証を行なっています。STEPⅠのテーマ発掘の段階で、在宅医療システムが効果的・効率的に機能するためには、訪問診療と訪問看護の緊密な連携が不可欠であるが、訪問診療医と訪問看護師との間には、期待される役割と現実に提供しているケアの内容とのギャップをはじめ、様々なコミュニケーション・ギャップ、情報の共有不足など、在宅医療の実践の場におけるギャップの存在が指摘されました。そこで、本委員会では、在宅医療における訪問診療医・訪問看護師間のギャップに着目し、ギャップ発生の実態の把握や要因の解明、解決策の検討を行うことがより良い在宅医療の推進や地域包括ケアの構築に重要であると考え、実際に在宅療養に携わる訪問診療医・訪問看護師の双方にインタビューを実施し、ギャップの有無や具体的内容、要因、対策等を把握することとしました。STEPIIで、訪問診療医5名、訪問看護師(在宅医療連携スタッフを含む)5名へインタビューを実施しました。これらを踏まえ、STEPIIIに当たる今年度は4回の委員会を開催し、仮説的理論構築と検証を行ないました。その成果について2017年6月に学会発表(日本在宅医学会で口演、演題は「訪問診療医・訪問看護師に求められている連携と役割機能-両職種間におけるギャップの見える化から在宅医療の円滑化を再考する-」)を行ないました。

[学会発表:第19回日本在宅医学会]
訪問診療医・訪問看護師に求められている
連携と役割機能
-両職種間におけるギャップの見える化から在宅医療の円滑化を再考する-

蒔田 麻友子, 大久保 豪, 横島 一彦,岡本 茂雄,横山 啓太郎,飯島 勝矢

2014年度~2015年度

これまでの議論の結果、「在宅医療における家庭医の機能と、現実に訪問看護師から見た家庭医の現状とのギャップ(①往診医と訪問看護師の間でコミュニケーションの欠如、②チーム医療が出来ていないなど)を炙り出すこと」が、当面の本研究員会でのゴールと位置付けました。この問題意識に基づき、平成27年度は、訪問看護師と家庭医の双方にインタビュー(医師:3回4人、看護師2回、3人)を行い、双方のギャップを明確化(炙り出し、ギャップの深堀り)すると同時に、これからの「ギャップ」分析に資するよう「ギャップ」に関わる専門職の特性・意識・慣行・職場環境等バックグラウンドを広く把握しました。