多様な主体が参加するプラットフォーム「ごちゃまぜの会」を活用した地域課題解決手法の開発
2024年度から埼玉県内の複数の市町村をフィールドに、多様な主体が参加するプラットフォーム「ごちゃまぜの会」は、地域共生社会づくりに資する当財団の事業目的に適う取組みに支援を開始しました。
「ごちゃまぜの会」は川越雅弘氏(元埼玉県立大学教授)を中心に研究や運営を行っています。
<研究背景及び目的>
厚生労働省は、地域共生社会を、「制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」と定義し、その実現に向けた様々な施策を現在展開しています。こうしたなか、多様な担い手の参画による地域共生に資する地域活動の普及促進の観点から検討されているのが「分野・領域を超えた地域づくりの担い手が出会い、更なる展開の場(=プラットフォーム)を通じた地域活動の推進」と「これら活動を通じた地域課題の解決」です(図1)。
図1. 地域共生に資する取組について
出所)厚生労働省:社会福祉法の改正趣旨・改正概要について、令和2年度地域共生社会の実現に向けた市町村における包括的な支援体制の整備に関する全国担当者会議(2020年7月17日)、資料1より転載
ただし、組織風土、価値観、関心領域、得意とする手法が異なる多様な関係者を交えて地域課題を共有し、課題解決に向けて協働するといった地域マネジメントを展開することは容易ではなく、その展開方法も明確にはなっていません。
そこで、本研究では、埼玉県内の複数の市町村をフィールドに、多様な主体が参加するプラットフォーム「ごちゃまぜの会」を立ち上げ・運営しながら、地域課題解決に向けた手法を開発することを目的としました。
2024年度
<実施内容>
1. ごちゃまぜの会を通じた地域課題・地域資源の把握
研究期間(2024年7月~2025年6月末)中に、2市(志木・熊谷)で新たにごちゃまぜの会を立ち上げ、合計7市(さいたま・越谷・北本・鴻巣・川越・志木・熊谷)でごちゃまぜの会を開催しました。研究期間中の開催回数は延べ12回、発表者は延べ55名でした(表1)。
また、北本市では、テーマ別ごちゃまぜの会(テーマ:子ども・子育て支援)を開催し、子ども支援に関わる様々な団体の方が感じている課題の共有を図りました(図2)。
| No | 団体名 | 発表者 | 分野・支援対象 |
|---|---|---|---|
| 第10回きたもとごちゃまぜの会(開催日:2024年8月10日、オンライン) | |||
| 1 | 合同会社仁徳 | 平岡衣世子 | 地域づくり |
| 2 | コミュニティ・クリエイターズLABO | 太田珠羅 | 地域づくり |
| 3 | 株式会社home&room | 松崎久美子 | 高齢者 |
| 4 | 一般社団法人結和(老人ホーム紹介センター) | 須永洋子 | 高齢者 |
| 5 | 北本ロータリークラブ | 清宮尚也 | 子ども・子育て家庭 |
| 6 | Marriage Ki | 五條典子 | 婚活支援 |
| 第11回きたもとごちゃまぜの会(開催日:2025年2月13日、オンライン、テーマ:子ども支援) | |||
| 1 | 西部支部社協 どんぐりっ子集まれ | 奥山美穂 | 子ども・子育て家庭 |
| 2 | 育児サポーターくりりん | 小澤理絵 | 子ども・子育て家庭 |
| 3 | ひなとま食堂 | 田中紗友里 | 子ども・子育て家庭 |
| 4 | ワーカーズコレクティブてとて | 邨山真理 | 子ども・子育て家庭 |
| 5 | こども応援コーディネーター | 松本りえ子 | 子ども・子育て家庭 |
| 第12回きたもとごちゃまぜの会(開催日:2025年3月8日、対面) | |||
| 1 | きたもとBASEアドバイザー | 松本りえ子 | 子ども・子育て家庭 |
| 2 | 鴻のノウフクファーム | 佐渡一宏 | 障害者支援 |
| 3 | 北本市共生社会課 | 長島俊介 | 重層的支援 |
| 第6回越谷ごちゃまぜの会(開催日:2024年9月21日、オンライン) | |||
| 1 | NPO法人復興イメージトレーニング協会 | 今井裕子 | 災害 |
| 2 | 産後ドゥラーの活動(個人事業主) | 尾澤あきつ | こども・母親支援 |
| 3 | 越谷地域福祉よりそい | 岡田由紀子 | 生活困窮・就労支援 |
| 4 | 特定非営利活動法人青藍会 | 日野尊憲 | 子ども・子育て家庭 |
| 5 | 埼玉りそな銀行 | 鈴木 学 | 子ども・居場所提供 |
| 第7回越谷ごちゃまぜの会(開催日:2025年2月9日、対面) | |||
| 1 | 親子サークルひみつきち | 根岸千怜 | 子ども・子育て家庭 |
| 2 | 子育てクワイエ | ⼤島真由 | 子ども・子育て家庭 |
| 3 | シンデレラ20 | 加藤みゆき | 若者支援 |
| 4 | NPO法人埼玉消費者被害をなくす会 | 滝澤玲⼦ | 高齢者・消費者 |
| 第4回さいたまごちゃまぜの会(開催日:2024年9月8日、対面) | |||
| 1 | 埼玉県社会的擁護を考える会 | 八木俊介 | 福祉 |
| 2 | NPO 法人パープルネットさいたま | 尾崎弘美 | こども・子育て家庭 |
| 3 | かかりつけ看護師バディ | 皆島悦子 | 医療・看護 |
| 4 | 一般社団法人LO&PE365 ロープ、自治会長 | 世古口まりか | 家事支援 |
| 5 | さいたま市メディア「さいのネ」 | 菊村夏水 | 情報発信 |
| 6 | 一般社団法人産後ドゥーラ協会 | 後藤美晴 | こども・母親支援 |
| 7 | CP サッカー AS ユナイテッド | 中村臣宏 | 障害者支援 |
| 第4回こうのすごちゃまぜの会(開催日:2025年5月24日、対面) | |||
| 1 | 株式会社NSB(なすび) | 遠藤 滋 | 地域共生 |
| 2 | ちゃめっこ食堂 | 高柳優季 | こども・子育て家庭 |
| 3 | そらはなカフェ実行委員会 | 和田 燿 | 地域づくり |
| 第1回志木市ごちゃまぜの会(開催日:2024年11月30日、オンライン) | |||
| 1 | カフェらふ | 田中幸子 | 居場所づくり |
| 2 | 社会福祉法人邑元会しびらき | 日下喬史 | 障害者支援 |
| 3 | 志木市話し相手ボランティア語楽の会 | 佐藤佐保子 | 高齢者・家族支援 |
| 4 | 生活クラブくらぶメゾン式 | 前田京子 | 居場所づくり |
| 5 | SHIKISAIパートナーズ | 山丸拓郎 | 地域づくり |
| 第3回めぐり逢エール川越(開催日:2024年11月9日、ハイブリッド) | |||
| 1 | チアアップ彩たま | 浦松 晶 | 子どもの居場所 |
| 2 | シルバーレクリエーションクラブ | 新井紀子 | 高齢者 |
| 3 | 初雁ふれあいサポート | 綱島 一 | つながり作り |
| 4 | SOMPOケア川越霞ヶ関デイサービス | 岩瀬 茜 | 高齢者支援 |
| 第4回めぐり逢エール川越(開催日:2025年3月19日、ハイブリッド) | |||
| 1 | あおぞら高校 | 佐々木結加 | つながり作り |
| 2 | グリーンパーク自治会 | 山下道郎 | 生活支援 |
| 3 | 明治安田生命保険相互会社 | 佐藤雅規 | 社会貢献活動 |
| 4 | リンクス川越事業所/憩いの場すばる・岸2文庫 | 石井浩太 | 居場所づくり |
| 第1回くまがやごちゃまぜの会(開催日:2025年2月1日、オンライン) | |||
| 1 | 熊谷なないろ食堂 | 山口純子 | こども・子育て家庭 |
| 2 | NPOにじいろ | 牛頭智子 | 障害者支援 |
| 3 | 熊谷青年会議所 | 山田廣和 | 地域づくり |
| 4 | 熊谷市社会福祉協議会 | 大崎夕貴 | 地域づくり・福祉 |
| 5 | 熊谷市在宅医療支援センター | 松本浩一 | 医療・介護 |
| 第2回くまがやごちゃまぜの会(開催日:2025年5月10日、オンライン) | |||
| 1 | NPO法人子育てネットくまがや | 大﨑幸恵 | こども・子育て家庭 |
| 2 | グリーフケア・サポートくまがやあめのちはれ | 山中晴与 | 高齢者・家族支援 |
| 3 | 地域支援センターたいよう | 茂木健司 | 高齢者 |
| 4 | 熊谷市薬剤師会会営薬局江南店 | 田島敬一 | 医療 |
図2. 第11回きたもと ごちゃまぜの会のプログラム
(テーマ:子どもの居場所について)
2. 地域資源のネットワーク化の推進及びつながった事例の収集及び整理
ごちゃまぜの会を通じて、参加者同士がつながる事例が出てきています。以下、北本市及び鴻巣市から収集した事例を紹介します。
1).北本市(事務局:北本市社会福祉協議会)
【事例1】支援者と企業がつながった例
ごちゃまぜの会に参加し、北本市社協が子ども食堂支援を実施していることを知ったコープみらい及び組合員から、①フードドライブ(FD)で集めた食材、②お米、③文房具の寄付が行われました(図3)。
図3.生協から社協への米の寄付の様子
【事例2】生活支援コーディネーターが既存会議を活用して地域課題の解決につなげた例
地域住民を交えた中央地域第2層協議体(社協が会議を運営)にて、高齢者の「買い物困難」という課題について話し合いを実施し、第3回のごちゃまぜの会でプレゼンされた五條さん(老舗定食屋(マイクロバス保有)、運転も可)の協力のもと、同店のバスを活用して、食事の後に市内のショッピングモールに買い物に行くツアーが実現、参加者は、食事や買い物を楽しむだけでなく、参加者同士の会話なども楽しみました。(図4)
図4.買い物・食事ツアーの様子
2).鴻巣市(事務局:こうのす共生病院 地域連携室)
【事例1】病院の中で地域の支援者が活動し始めた例
事務局をしているこうのす共生病院の中で、ごちゃまぜの会に参加した支援者による「子ども食堂の開催」「社会福祉協議会による出張相談の開催」「ボランティア団体によるハンドマッサージの実施」などが行われました。
3. 地域課題の解決を図るための会議体の立ち上げおよび運営
多様な主体がつながることで、支援者が抱える課題(活動場所がない、人手が足りない、ノウハウがないなど)は一定程度解決されるが、支援を要する人が抱える課題を解決するためには、別途そのための会議体を立ち上げ、運営する必要があります。
そこで、本年度は、具体的テーマ(例:子どもを地域で支えよう)を設定した上で、関係者を交えて課題の共有や対策の検討を行う会議体の立ち上げを図っていきました。
<成果>
これまでの取組の主な成果として、
- 支援対象者が抱える課題、必要な支援が見える化したこと。これにより、参加した地域住民も、具体的に何をしたらよいかのイメージができてきたこと。
- 支援者の思い、組織運営上の課題、やりたいことなどが共有できたこと
- テーマ別の地域資源が見える化できたこと(サロン活動マップの作成など)
- 支援者同士のつながりが生まれたこと(例:居場所を持っている人と活動拠点を探している人がつながるなど)
- 地域資源の見える化により、社協の支援ニーズ・地域課題と解決手段をマッチングする力が高まったこと(例:第3回講演者(老舗定食屋(マイクロバスを保有)の方で、バスの運転もできる方)と、高齢者の買い物困難問題について相談し、同店のバスを活用して、食事の後に市内のショッピングモールに買い物に行くツアーが実現。参加者は、食事や買い物を楽しむだけでなく、参加者同士の会話なども楽しんでいたなど)。
などが挙げられます。
