第3回 看護・介護エピソードコンテスト『ほがらかに楽しくおらせてくれやの』松村 朋枝さん
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正子ばあちゃんのひとこと聞き書き集
- 認知症検査をしているときのこと
「今日は何日かって?そんなに知りたきゃ自分で新聞をみてくりゃえぇ。別にわからんでも生きていけるわぃ」・・してやったりの顔は正子ばあちゃんのお得意技である。
- 嫁が緊急訪問で呼ばれて出かけるときのこと
「あんたはうんこで食べているんやから、早よ行って来んならん。私は寝て留守番しとるがいね。」
- 歩行練習で手を引きながらトイレに移動している最中に
「あんた歩かせるの上手いなぁ、こんなに早く歩けるなら夜逃げするのに困らんわ」
- 一緒に食事をしているときに食べやすいように食材を小さくしたときのこと
「そんなにちーさくしたらだんだんのーなる。あんたは身体が大きいからいいけど、私はちんまいから生まれ変わったら猫かネズミになるんやなぁ」
- 食事後に・・・
「腹が膨れると、眼瞼がさがる、あぁありがたや~」
- 物忘れをすることに落ち込んでいる正子さんに対してスタッフが、私達が代わりに覚えているから大丈夫だよと話をした時に、
「何でこんなに眠いんやろ。寝て起きると朝か夜かわからんようになるわぁ。えっ?今、夕方の5時かってか?朝の5時かとおもーとった。あんたらがおってくれんときゃぁ、忘れてもいいってか?ありがとう」
- はじめて5本指の靴下を履いたときに薬指の下に隠れて見えなかった小指を見て、
「小指がしゃばにもどってきた~」
- トイレに便を落としてしまったときに、
「わてのうんこはコロコロしてるから落としても拾いやすいぞ」
それを受けたスタッフがコロコロうんこを「黒いダイヤ」と呼んだことに対して、
「本物のダイヤが出てくるかって?そんな原料食べておらんからできんわ~」
- 85歳の友人と話をしている中で、
「あんたのその服いいなぁ、しょうぶわけ(形見分け)にもらおっかなぁ。死んだらね。」
- スタッフにケアを受けながら
「人のあっこ(悪口)は言ったらいかん、必ず自分にかえってくるんや」
「幸せなのは、あんたが努力しているさけや、あんた(私を見て)も遊んどらんと負けんと仕事しまっし」
「愛しているってことは、め(目)ぇ~つけてもらうことや。めぇ~つけて、結婚するのでつばつけて、子供が生まれて鼻つけて、人生最期にうんつける」
「歳をとると顔にしわばっかり増えるけど、頭の中はツルツルになってしもうたね。すぐに忘れる・・・」
- ショートステイから帰ってきた日に、腰をかがめて廊下を歩きながら、
「お母さん(三男の嫁)に会えなくって、さみしかったぁ~~」と泣き出した。
「あんたの役に立とうと思ってここに来たがに・・・洗濯物1つ畳めんがんなってしもうて、草も引けんくなって、世話かけるばっかりや」